大脳皮質
大脳皮質の各部を紹介していく前に、先に大脳皮質がもつ大まかな機能を紹介します!
大脳皮質の機能区分
一次運動野
運動ニューロンに運動の命令を与える場所
一次知覚(感覚)野
感覚ニューロンから伝わった刺激を受け取る場所
ブローカ野(感覚性言語中枢)
障害されると、流暢には話せるが言葉の意味を理解することが困難なため、文章の辻褄が合わなくなってしまう(ブローカ失語)。
ウェルニッケ野(運動性言語中枢)
障害されると、言葉の意味は理解できるが、流暢に話すのが困難となってしまう(ウェルニッケ失語)。
ブローカ失語とウェルニッケ失語が混同しないように注意してください!
前頭葉
機能 | 障害による主な症状 | ||
前頭連合野 (前頭前野) |
判断, 思考, 計画, 企画, 創造, 注意, 抑制, コミュニーケーションなどの高次脳機能 | 前頭連合野の障害による高次脳機能障害(意欲の低下, 注意障害, 脱抑制, 易怒性など) | |
Broca野 | 発語, 書字など運動性言語に関わる(左脳44, 45野) | 運動性失語(Broca野) | |
高
次 運 動 野 |
運動前野 | 外界からの情報を引き金として一連の運動を準備する(6野) | 熟練した運動の障害 |
補足運動野 | 自発的に一連の運動をプログラムする(6野) | 自発的な運動の開始や発語の不能 | |
前頭眼野 | 両岸の随意的共同運動に関わる(8野) | 病側共同偏視 | |
一次運動野 | 随意運動を実行する(4野) | 錐体路徴候 |
前頭連合野
- 判断, 思考, 計画, 企画, 創造, 注意, 行動や感情の抑制, コミュニーケーションなど“人間らしい高度な分析や判断”の中枢
- 傷害されると“高次脳機能障害”を生じる
高次脳機能障害
高次脳機能とは、主に連合野にみられ、言語, 行為, 認知, 記憶, 注意, 判断などの機能を有する。
医学的な高次脳機能障害 | |
行政的な高次脳機能障害 | |
失語症 | 記憶障害 |
失行症 | 注意障害 |
失認症 | 遂行機能障害 |
認知症など | 社会的行動障害 |
“行政的な”というのは、“身体障害者手帳がもらえる”という意味合いになります。
この“高次脳機能”と“ブローカ野”の存在が前頭葉での大きなポイントになります!!
後頭葉
機能 | 障害による主な症状 | |
一次視覚野 | 視覚情報から形や色、動きや奥行きなどの情報を抽出し、各情報より高次の視覚野へ送る(17野) | 同名性半盲 Anton 症候群 |
視覚前野 | 一次視覚野から受け取った視覚情報を処理・統合し、物体の認識や空調認知を行なう | 物体失認 相貌失認 色彩失認 視覚性運動盲 |
視覚に関わる領域を有するのが後頭葉でのポイントになります!!
側頭葉
機能 | 障害による主な症状 | |
一次聴覚野 | 耳から聴覚情報を受取り、音として感じる(41, 42野) | 皮質囊 幻聴 |
Wernicke 野 | 言語を理解する(左22野) | Wernicke 失調 (感覚性失語) |
聴覚周辺野 (聴覚連合野) |
一次聴覚野で受け取った聴覚情報を過去の記憶と照合し、何であるか解釈する | 環境音失認 感覚性失音楽 |
側頭連合野 | 視覚情報に基づく物体認識や、高次の聴覚情報処理、および記憶に関わる(37野) | 物体失認 相貌失認 |
“聴覚”と“ウェルニッケ野”が側頭葉の大きなポイントになります!!
また連合野もあるため、一部視覚にも関わってきます。
頭頂葉
機能 | 障害による症状 | ||||
体性感覚野
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一次体性感覚野 | 対側の身体各部の体性感覚に関わる(3, 1, 2野) | 感覚障害 肢節運動失行 |
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二次体性感覚野 | 一次体性感覚野および視床から感覚刺激を受け取る | – | |||
頭
頂 連 合 野 |
上 頭 頂 小 葉 |
体性感覚連合野 | 一次体性感覚野から感覚情報を受け取り、空間内での体の位置、運動に関する情報を統合・認識する 後頭葉から視覚情報を受け取り、運動の認識、立体視、空間感覚に関わる(5, 7野) |
純粋失書 視覚性運動失調 |
半側空間無視
半側身体失認 身体部位失認 構成障害 着衣失行 |
下
頭 頂 小 葉 |
縁上回 | 体性感覚連合野から感覚情報・視覚情報を受け取り、物体を認識する(40野) | 観念運動性失行 伝導性失語 |
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角回 | 後頭葉から言語に関する視覚、読み・書き、計算など一連の行為に関わる(39野) | 失読失書 Gerstmann 症候群 観念性失行 |
頭頂連合野
後頭葉は側頭葉など、大脳皮質の他の領域で受け取った様々な感覚を統合・認知することで、物体の識別(モノが何なのか)や、空間認知(何をすべきか)を行なう。
この統合された情報は前頭連合野に送られ、適切な運動の計画が行なわれる。
(左)角回
- ヒトの読み書きに機能する部位
- 障害されると、失読失書, Gerstmann 症候群, 観念失行などの症状を呈する
頭頂葉障害による行動・認知障害
症状
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病巣域 |
症状内容
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左半球 | 右半球 | ||
半側空間無視 | 後方 | 左側の物体に気づかない。 | |
病態失認 | 広域 | 左麻痺があるのに否定する。 | |
着衣失行 | 後方 | 衣服の着脱が正しく行えない。 | |
Gerstmann 症候群 |
左角回
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手指失認:自分の指がどこの指かがわからない 左右失認:自分にとっての左右が不明 ああ失書:文字が書けない ああ失算:計算ができない |
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失読失書 | 会話は可能だが、読み書きができない。 | ||
観念性失行 | 道具が使えない。ADLの順序を失認する。 | ||
観念運動性失行 | 左縁上回 | 自発的な行動は可能だが、指示されるとできない。 | |
半側身体失認 | 左 or 右半球 後方(多くは右), 視床 | 左半分の身体がまるで存在しないかのように扱う。 | |
身体部位失認 | 左半球 or 両側 後方 | 身体部位の名称を聞いたり、触れられても、それがどこかを言えない。 | |
構成障害 | 左 or 右半球 後方 | 積み木や図の描写ができない。 | |
肢節運動失行 | 左 or 右半球, 中心前回 or 中心後回 | 手指の巧緻性低下。 |
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