上肢・体幹
頸椎圧迫テスト(cervical compression test)
目的
頸椎を下方に圧迫することで椎間孔を狭窄させ、神経根の圧迫障害を検査する。
方法および評価
座位。術者は患者の背後にたち、左右の指を組んで患者の頭に置く。ゆっくりと下方への力を加える。患側上肢に疼痛やしびれが放散すれば陽性。神経根の圧迫を疑う。
インピンジメント徴候
目的
肩峰下スペースにストレスを加えることで、回旋筋腱板の過剰使用による損傷・炎症の検査を行なう。
方法および評価
① Neerの手技
座位。術者が肩甲骨を押さえながら、内旋位にした肩を他動的に屈曲する。疼痛が誘発されれば陽性である。
② Hawkins-Kennedyの手技
座位。術者が肩甲骨を押さえながら肩を90度屈曲させ、他動的に肩を内旋する。疼痛が誘発されれば陽性である。
いずれの手技も、回旋筋腱板(とくに棘上筋)と肩峰下包が、肩峰や烏口肩峰靭帯に押し付けられることで疼痛が再現されるかどうかを検査するものである。
Morley test
目的
胸郭出口症候群の検査。
方法および評価
座位。鎖骨上窩において腕神経叢を指で圧迫したとき、上肢に上肢に疼痛やしびれが放散すれば陽性。
Wright test
目的
胸郭出口症候群の検査。
方法および評価
座位。肩関節外転90度・外旋90度、肘関節屈曲90度の肢位において、橈骨動脈の脈拍が減弱または消失すれば陽性。
Adson test
目的
胸郭出口症候群の検査。
方法および評価
座位。頸椎を伸展位で検査側に回旋させる(= 前斜角筋が緊張する頸椎の姿勢)。大きく息を吸って止めたときに橈骨動脈の脈拍が減弱または消失すれば陽性。
Finkelstein test (Eichhoff test)
目的
ドゥ・ケルバン病を検査する。
方法および評価
母指を握りこぶしの中に入れて握らせて、手関節を尺屈させる。伸筋支帯第1区画部に疼痛が走れば陽性。ドゥ・ケルバン病を疑う。
Phalen test
目的
手根管内での正中神経の刺激や圧迫を検査する。
方法および評価
患者は両手を最大に掌屈させ、手背部どうしを合わせる。この位置を1〜2分間保ち、感覚の変化を観察する。正中神経支配領域の皮膚にしびれや疼痛が生じれば陽性。手根管症候群を疑う。
tear drop sign
目的
前骨間神経麻痺を検査する。
方法および評価
母指と示指によるつまみ動作において、母指IP関節屈曲と示指DIP関節屈曲ができないため、特有の肢位をとる。母指と示指によるアウトラインが「涙のしずく」のように見えることからこの呼び名がある。
perfect 0 test
目的
正中神経麻痺を検査する。とくに低位麻痺の検査。
方法および評価
母指と示指の指先をつけて丸(まる)をつくらせる。丸の形状が不整になれば陽性。
祈祷肢位
目的
正中神経麻痺を検査する。とくに高位麻痺の検査。
方法および評価
患者に指を曲げるように指示する。環指と小指しか屈曲できなければ陽性。
Froment 徴候
目的
尺骨神経麻痺を検査する。とくに、母指内転筋が尺骨神経支配であることを利用している。
方法および評価
母指と示指の間に紙を挟ませて、保持しているように指示しておく。この紙を術者が引っ張ると、麻痺した母指内転筋の代償として母指IP関節の屈曲によって紙を取られまいとする特有の肢位をとる。これをFroment 徴候陽性という。母指IP関節の屈曲は、正中神経支配の長母指屈筋による作用である。
Thomsen test
目的
上腕骨外側上顆炎(通称:テニス肘)を検査する。
方法および評価
患者の手関節を握りこぶしのまま背屈させておき、術者がこれを掌屈しようとする。上腕骨外側上顆部に疼痛を生じれば陽性。
chair test
目的
上腕骨外側上顆炎(通称:テニス肘)を検査する。
方法および評価
前腕を回内し、肘を伸展してままで4kg前後の椅子を持ち上げる。上腕骨外側上顆部に疼痛を生じれば陽性。
Allen test
目的
手の血流を一時的にとめて、手根での橈骨動脈や尺骨動脈の結構に異常がないかを検査する。
方法および評価
患者に手指を強く握りしめさせ1分間ほど待つ。
術者の指で橈骨動脈と尺骨動脈を強く圧迫し、血液が手に流れ込むのを阻止する。
患者に手を広げさせる。(血行を阻止されていたために手掌部が白くなっている。)
術者は、検査する動脈の圧迫を解除する。他側の圧迫は維持する。
圧迫を解除したときに手掌部に血の気が戻らない、あるいは5秒以上かかる場合は陽性。検査側の動脈閉鎖を疑う。
コメント