適応装具
ペルテス病に対する装具には大きく分けて“免荷型”と“荷重型”の2種類が存在します。
免荷型
スナイダースリング
患側の膝関節を屈曲して肩からバンドで吊り下げることで、患部の完全免荷を図る装具です。
イラストのように歩行には松葉杖を必要とします。
(改良型)ポーゴスティック型 = NPS装具(New Pogo – Stick 装具)
元々は1970年にGlimcher氏がポーゴスティック型を発表されたのですが、そこから2年後に渡辺教授らによって改良を加えられたのがこの装具です。
改良された点としては以下の通りです。
- 股関節内旋位をとらせるためのゴムバンド
- 支柱への高さ調節機能ならびに膝継手の追加
外転:30〜45°, 軽度内旋位
- 坐骨支持ソケット
- 支柱(股継手用)
- 足部
- 内旋ストラップ
- パッテン底(外側ウェッジ)
トライラテラル型(= Tachdjian型)
1968年にTachdjian氏が発表した装具です。そのため“Tachdjian型”とも呼ばれています。
大腿部の外側壁を大きく解放するのは外転筋による大腿骨頭への負荷を緩和する目的です。
専用支柱の膝継手のロックをはずすことで、座位をとることができます。
外転:30°, 内旋位
- 三角形ソケット
- ステンレス製の専用支柱
- 足部
- 内旋ストラップ
- パッテン底(外側ウェッジ)
西尾式外転股装具
強固な支柱により走行も可能な装具です。
階段の昇降も可能で、腰のベルトをゆるめることで座位をとります。
外転:30°, 軽度内旋位
- 骨盤帯
- 坐骨支持
- 鋼鉄支柱と両側膝継手
- 下腿カフ
- 足部
SPOC型
1983年に笠原医師によってSPOC(Shiga Pediatric Orthopedic Center:滋賀県立小児保健医療センターの前身)で開発された装具です。
他の装具との最大の違いは股関節を外旋位にして装着する点です。
また座位をとるためにはパイプ支柱を取り外さねければなりません。
屈曲:30°, 外転:30°, 外旋:30°
- ペルビックガードル
- 坐骨支持
- スライド式バネ
- 股継手
- パイプ支柱
荷重型
外転位股装具
外転位
- 骨盤帯
- 大腿支持部
- 股継手
- 補高靴(外側ウェッジ)
バチェラー型
外転・内旋位, 膝約30°屈曲位
- 大腿カフ
- 膝継手
- 外転保持バー
- 両端にユニバーサルジョイント
- 長さ調整により外転角を調整
スコティッシュライト型(= アトランタ型)
1971年にアメリカのアトランタにあるScottish Rite Hospitalで開発された装具です。そのためスコティッシュライト型ともアトランタ型とも呼ばれています。
立位, 座位, 歩行が可能です。
両側を連結しているスプレッダーバーは三角形構造(トラス構造)にすることで装具の強度を高める役割があります。
外転:25°〜35°
- 骨盤帯
- 股継手
- 大腿シェル
- スプレッダーバー
トロント型
両脚を90°に保持し、リンク式のフレームによって座位, 歩行が可能となっています。
外転:45°, 軽度内旋位
- 大腿カフ
- 45°の外側ウェッジ底
- ボールジョイント付きのフレーム
ニューイントン型
外転:45°, 軽度内旋位
- 大腿カフ
- 膝シェル(プラスチック)
- 45°の外側ウェッジ底
- Aフレーム
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