診断
以下の米国リウマチ協会(ACR)の診断基準(1988)から、7項目中4項目以上で関節リウマチと診断されます。
この基準は1988年のもので、2010年に新たにこのような基準が作られました。
関節リウマチ分類基準(ACR/EULAR 2010)
腫脹または圧痛のある関節数(0〜5) | |
大関節が1箇所 | 0 |
大関節が2から10箇所 | 1 |
小関節が1から3箇所 | 2 |
小関節が4から10箇所 | 3 |
1つの小関節を含む11箇所以上 | 5 |
自己抗体(0〜3) | |
RF, 抗CCP抗体がともに陰性 | 0 |
RF, 抗CCP抗体のいずれかが弱陽性 | 2 |
RF, 抗CCP抗体のいずれかが強陽性 | 3 |
炎症反応(0〜1) | |
CRP, 血沈がともに正常 | 0 |
CRP, 血沈のいずれかが異常高値 | 1 |
罹病期間(0〜1) | |
6週未満 | 0 |
6週以上 | 1 |
・少なくとも1以上の明らかな腫脹関節(滑膜炎)があり、他の疾患では説明できない患者がこの分類基準の使用対象となる。
・明らかな関節リウマチと診断するためには合計点で6点以上が必要。
国家試験ではACR/EULARの分類はまだ出ていないようですが、もういつ出題されてもおかしくはないと思います!
検査では以下のような結果がみられます。
- 血沈の亢進
- CRP陽性
- RA因子陽性
- 貧血
- 血清グロブリン値亢進 など
病期と機能障害度の判定には以下の“Steinbrokerの分類”が使用されます。
Steinbrokerの分類 (ACR)
Stage分類
stage Ⅰ 初期 *1. X線写真上に骨破壊像はない。 2. X線学的オステオポローゼはあってもよい。 |
stage Ⅱ 中等度 *1. X線学的に経度の軟骨下骨の破壊を伴うあるいは伴わないオステオポローゼがある。経度の軟骨破壊はあってもよい。 *2. 関節運動は制限されてもよいが関節変形はない。 3. 関節周辺の筋萎縮がある。 4. 結節および腱鞘炎のごとき関節外軟部組織の病変はあってもよい。 |
stage Ⅲ 高度 *1. オステオポローゼの他にX線学的軟骨および骨の破壊がある。 2. 亜脱臼, 尺側偏位, あるいは過伸展のような関節変形がある。線維性または骨性強直を伴わない。 3. 強度の筋萎縮がある。 4. 結節および腱鞘炎のような関節外軟部組織の病変はあってもよい。 |
stage Ⅳ 末期 *1. 線維性あるは骨性強直がある。 2. それ以外はstage Ⅲの基準を満たす。 |
* 印のある基準項目は、特にその病気あるいは進行度に患者を分類するためには必ずなければならない項目である。
Class分類
class 1 | 日常生活(身の回りのこと1), 仕事2), 余暇3))を普通に行なうことできる。 |
class 2 | 普通の身の回りのこと, 仕事はできるが、余暇は制限される。 |
class 3 | 普通の身の回りのことはできるが、仕事や余暇は制限される。 |
class 4 | 普通の身の回りのこと, 仕事、余暇をするのに制限される。 |
1)衣類の着脱, 食事, 入浴, 身づくろい, トイレ
2)仕事, 学校, 家事など患者の希望, 性, 年齢に合ったもの
3)レクリエーション, レジャーなど患者の希望, 性, 年齢に合ったもの
またX線では
【関節周辺の骨萎縮 → 関節包付着部の骨侵蝕像 → 関節裂隙狭小化・消失 → 骨性強直】
と進行していきます。
【関節周辺の骨萎縮 → 関節包付着部の骨侵蝕像 → 関節裂隙狭小化・消失 → 骨性強直】
と進行していきます。
X線評価には以下の“Larsenのgrade分類”が使用されます。
Larsenの関節リウマチおよび疑似疾患のgrade分類
grade 0 (正常像) |
辺縁部骨下化などの関節炎と関係のない変化はあってもよい。 |
grade Ⅰ (経度変化) |
次の病変のうち、1つ以上みられるもの。 関節周辺軟部組織腫脹 関節周辺骨粗鬆 経度の関節裂隙狭小化 |
grade Ⅱ (明らかな初期変化) |
スタンダードX線にみられるような、侵蝕像と関節裂隙狭小化 荷重関節の侵蝕像は除外する。 |
grade Ⅲ (中等度破壊性変化) |
スタンダードX線にみられるような、侵蝕像と関節裂隙狭小化があり、侵蝕像はいずれの関節にもみられるもの。 |
grade Ⅳ (高度破壊性変化) |
スタンダードX線にみられるような、侵蝕像と関節裂隙狭小化があり、荷重関節に骨変形がみられるもの。 |
grade Ⅴ (ムチランス様変化) |
本来の関節構造が消失し、荷重関節には著しい変化がみられる。 脱臼や骨性強直は二次的なものであり、grade分類とは無関係である。 |
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